帆布(キャンバス canvas)とは、綿や麻で織られた平織りの厚手生地の事を言います。
canvas の語源は、『麻で作られたもの』というギリシャ語から派生しています。
『キャンバス』と聞くと、まずは油絵などの画材を思い浮かべる方も多いかもしれません。
これは、正解であり、現在でも画材としてキャンバス生地が使用されています。
キャンバスは、14世紀に使用されはじめ、油絵の画材、刺繍のベース生地、兵士の盾の補強材などとして使用され始めたようです。
キャンバスはその後、その強度を生かして、帆船の帆の材料、テントの材料、パラシュート材料、石炭運搬用袋などの強度を必要とする袋の素材、靴の素材などで使用されたりと、時代の変遷と、新しい素材の登場などによって、その役割を変えながら現在まで使用され続けています。
現在使用されている用途例を挙げてみます。
・椅子の張地
・エプロン
・かばん
・クツ(靴)
・手袋
・ハンモック
・サンドバッグ
・野球のベース
・テント材
なお、日本で帆布と呼ばれるようになったのには、ちょうど日本にその技術が入ってきた時に、主な利用方法が、船の帆の材料であったためではないかと予想できます。
このように長い歴史の中で使用され続けたキャンバスですが、その需要は一時と比較して相当に減少している、というのが現状です。
理由としては、化学繊維の発展により、安価で、強度、耐久性、メンテナンス性の高い素材が、キャンバスに取って代わっているということがあります。たしかに、機能性とコストパフォーマンスを考えると、化学繊維に分があるように思われます。現在の帆布(キャンバス)の使用状況を見ても、機能性というよりは、どちらかというと、伝統、装飾性、テイスト、アンチ化学繊維という理由での利用が多いように思われます。
ABOUT CANVAS
帆布生地について
帆布(キャンバス canvas)
バッグなどの素材としての帆布(キャンバス)
これからは、バッグ等生活雑貨に焦点を当てて帆布(キャンバス)を見ていきたいと思います。
まずは、『帆布』と『キャンバス』という言葉ですが、基本的には同じ意味にはなるのですが、バッグ、または雑貨業界では、微妙に意味合いが異なってきます。
『帆布』は、多くの場合は、日本製のキャンバス生地に使用されています。逆に、『キャンバス』は、多くの場合、海外製のキャンバス生地に使用されています。
一般的に、『帆布』、『キャンバス』という言葉は、綿100%で製作された生地を指す場合が多いようです。
また、帆布(キャンバス)では、その厚みにより質感、価格が大きく変わってまいりますので、厚みを示す数字が重要になります。一般的に、日本製は『号』、海外製は『オンス(oz)』で表示されます。製造時点でのこの厚みの基準が違うことが、日本市場において、同じ帆布(キャンバス)でも、日本製と海外製の取り扱いが別物になっている、一つの要因となっています。
日本製の生地厚みの単位『号』は、JIS L3102 綿帆布 の基準により規定されています。
※JIS L3102は1997年に廃止。その後、綿帆布に適用されるJIS基準はありません。
これを見ていただくと、号数は、数が少ないほど、重量が大きく=厚いということになります。
では、海外製の『オンス(oz)』の基準はどうでしょうか?
海外製の『オンス(oz)』は、1平方ヤードごとの重量(オンス)となります。
すなわち、単位面積当たりの重量を見て、その数字が大きいほど厚い、としてみていることにあります。
世界市場でみると、このオンス表示が一般的なキャンバスの厚み単位となっています。
では、日本の厚み単位『号』と、海外の厚み単位『オンス(oz)』とは、どのような関係になっているのでしょうか?
1平方メートル単位当たりの重量として比較すると、以下のようになります。
なお、麻帆布は、JIS L3402により、綿帆布と異なった基準が設けられています。
バッグ、生活雑貨で主に帆布の号数表示をする場合、綿帆布の基準が使用されていることを見ると、やはり『帆布』という言葉を使用される場合は、綿100%を想定している場合が多いことがわかります。
なお、綿帆布のJIS L3102は、1997年に廃止となっています。ただ、日本の多くの製織業者さんでは、この基準をベースに生産を行われているようです。もしこの基準を厳密に守られているとするならば、重量以外のスペックが担保されていることになりますので、海外製と比較してやはり品質の安定した生地であると言うことができます。
まずは、『帆布』と『キャンバス』という言葉ですが、基本的には同じ意味にはなるのですが、バッグ、または雑貨業界では、微妙に意味合いが異なってきます。
『帆布』は、多くの場合は、日本製のキャンバス生地に使用されています。逆に、『キャンバス』は、多くの場合、海外製のキャンバス生地に使用されています。
一般的に、『帆布』、『キャンバス』という言葉は、綿100%で製作された生地を指す場合が多いようです。
また、帆布(キャンバス)では、その厚みにより質感、価格が大きく変わってまいりますので、厚みを示す数字が重要になります。一般的に、日本製は『号』、海外製は『オンス(oz)』で表示されます。製造時点でのこの厚みの基準が違うことが、日本市場において、同じ帆布(キャンバス)でも、日本製と海外製の取り扱いが別物になっている、一つの要因となっています。
日本製の生地厚みの単位『号』は、JIS L3102 綿帆布 の基準により規定されています。
※JIS L3102は1997年に廃止。その後、綿帆布に適用されるJIS基準はありません。
号数 | 原糸撚り | 密度(本/inch) | 重さ | ||
---|---|---|---|---|---|
経糸 | 緯糸 | 経糸 | 緯糸 | g/㎡ | |
1 | 7 | 8 | 28-32 | 18-22 | 1014 |
2 | 7 | 8 | 28-32 | 16-20 | 941 |
3 | 6 | 6 | 28-32 | 19-23 | 867 |
4 | 6 | 5 | 29-33 | 18-22 | 794 |
5 | 4 | 5 | 32-36 | 23-27 | 720 |
6 | 4 | 4 | 32-36 | 23-27 | 647 |
7 | 3 | 4 | 34-38 | 24-28 | 573 |
8 | 3 | 3 | 34-38 | 24-28 | 500 |
9 | 2 | 3 | 44-48 | 33-37 | 510 |
10 | 2 | 2 | 45-49 | 34-38 | 428 |
11 | 2 | 1 | 43-47 | 39-43 | 343 |
これを見ていただくと、号数は、数が少ないほど、重量が大きく=厚いということになります。
では、海外製の『オンス(oz)』の基準はどうでしょうか?
海外製の『オンス(oz)』は、1平方ヤードごとの重量(オンス)となります。
すなわち、単位面積当たりの重量を見て、その数字が大きいほど厚い、としてみていることにあります。
世界市場でみると、このオンス表示が一般的なキャンバスの厚み単位となっています。
では、日本の厚み単位『号』と、海外の厚み単位『オンス(oz)』とは、どのような関係になっているのでしょうか?
1平方メートル単位当たりの重量として比較すると、以下のようになります。
単位 | 重さ | 重さ | 重さ | 単位 |
---|---|---|---|---|
号数 | g/平方 メートル |
g/平方 ヤード |
オンス/平方 ヤード |
オンス(oz) |
1 | 1014 | 848 | 30.0 | 30.0 |
2 | 941 | 787 | 27.8 | 27.8 |
3 | 867 | 725 | 25.6 | 25.6 |
4 | 794 | 664 | 23.5 | 23.5 |
5 | 720 | 602 | 21.3 | 21.3 |
6 | 647 | 541 | 19.1 | 19.1 |
7 | 573 | 479 | 16.9 | 16.9 |
8 | 500 | 418 | 14.8 | 14.8 |
9 | 510 | 426 | 15.1 | 15.1 |
10 | 428 | 358 | 12.6 | 12.6 |
11 | 343 | 287 | 10.1 | 10.1 |
なお、麻帆布は、JIS L3402により、綿帆布と異なった基準が設けられています。
バッグ、生活雑貨で主に帆布の号数表示をする場合、綿帆布の基準が使用されていることを見ると、やはり『帆布』という言葉を使用される場合は、綿100%を想定している場合が多いことがわかります。
なお、綿帆布のJIS L3102は、1997年に廃止となっています。ただ、日本の多くの製織業者さんでは、この基準をベースに生産を行われているようです。もしこの基準を厳密に守られているとするならば、重量以外のスペックが担保されていることになりますので、海外製と比較してやはり品質の安定した生地であると言うことができます。
ダック生地とは?
バッグその他雑貨、アパレル用素材で、『ダック』という素材がよく出てきます。
この『ダック』とは、どういう生地なのでしょうか?
また、帆布(キャンバス)と似ているようですが、何が違うのでしょうか?
もともと、ダック(Duck)という言葉は、オランダの『リネン(亜麻)製キャンバス』という意味の『Doek』から由来しています。
Cotton Duck, Duck clothとも呼ばれています。
ダックを、コットン製キャンバス、一般的なキャンバスよりも、密度を上げたもの、としているところもあるようですが、結局のところ、その情報が正確であるのか、よくわからない、裏付けが見つからない、という状況でした(某大手生地メーカーに聞いても、『厚み等、キャンバスとは厚み等の基準が違う』という情報のみで、正確な情報がもらえませんでした)。
そこで、当社なりに調査を致しました。
このダックを正式に規定したものとして、1924年にアメリカ合衆国商務省(Department of Commerce)のBureau of Standards(基準局(当時))が発行した
『Development of the Standard Numbered Cotton Duck Specification』という書類があります。この中で、ダック生地の基準を詳細に指定しています。
当時ダック生地が、特にアメリカ政府によって様々な用途で使用されていたようなのですが、その際の仕様についての基準が曖昧であったため、その基準を統一して、生産者、利用者共に利便性を上げましょう、ということで、『Cotton Duck Association(ダックの業界団体)』がBureau of Standards(基準局)に要請してこの書類が作成された、というものになります。
この書類の中身ですが、まずは、号物ダック(Numbered duck)の定義が示されています(今後、Numberedを号物、Numberを号数、と言います)。次に、ダックの号数(Number of duck)の計算法が明確に示されております。
その後は、その他品質項目について、政府調達や製造者の生地スペック指標として活用する目的として、当時、流通していた生地の検査を実施したレポートとなっています。
さて、その内容については、次のようになっています。
まずは号物ダックの定義が、『諸撚糸された糸で機械で平織りされたコットン生地』とされています。
次に、ダックの号数基準が次のように定められています。
Number of duck = 19 - (Weight per linear yard 22 inchis wide in ounces)
ダックの号数 = 19 - (経糸方向1ヤードx22インチの面積の重量(オンス))
その後の、生地の検査レポートについては、ここでは割愛します。
ダックの号数の基準をもとに、ナンバーごとの重量スペックを表にして、現在の海外製キャンバスの重量基準と比較すると、 次の通りとなります。
この表を見ますと、JISでの綿帆布とこのアメリカ基準で、多少の数字の違いがありながらも、かなり似たような基準になっていることがわかります。帆布の号数、ダックの号数が、1から増えるほど薄い生地になっていくこと。また、同じ号数の場合の重量が類似していることがあります。(その他、当基準書の中で記載があるその他スペックなどを見ても、かなり近い基準となっています)
アメリカのダックの基準書の発行が、1924年、JISの綿帆布の基準制定が1954年ということを考えると、もともとアメリカの基準が日本に輸入、使用され始め、年月の経過によりその内容が多少変わっていき、それが日本基準となり、その基準をもとにJISの制定がされた、と予測するのが自然ではないかと思います。
結局のところ、帆布(キャンバス)とダックの違いは何ですか?という問いにたいしては、綿帆布(コットン製キャンバス)とダックは、基本的には同じもの、ということでよいかと思います。ただ、号数の基準など、スペックの基準が違う、ということが言えます。『帆布』は、日本で使用されて一般化、独自に基準化された厚物平織り生地であり、『ダック』はアメリカで使用されて一般化、独自に基準化されたコットン厚物平織り生地であり、『キャンバス』は、帆布、ダックも含めた厚物平織り生地の世界的共通名称、ということが言えるかと思います。
この『ダック』とは、どういう生地なのでしょうか?
また、帆布(キャンバス)と似ているようですが、何が違うのでしょうか?
もともと、ダック(Duck)という言葉は、オランダの『リネン(亜麻)製キャンバス』という意味の『Doek』から由来しています。
Cotton Duck, Duck clothとも呼ばれています。
ダックを、コットン製キャンバス、一般的なキャンバスよりも、密度を上げたもの、としているところもあるようですが、結局のところ、その情報が正確であるのか、よくわからない、裏付けが見つからない、という状況でした(某大手生地メーカーに聞いても、『厚み等、キャンバスとは厚み等の基準が違う』という情報のみで、正確な情報がもらえませんでした)。
そこで、当社なりに調査を致しました。
このダックを正式に規定したものとして、1924年にアメリカ合衆国商務省(Department of Commerce)のBureau of Standards(基準局(当時))が発行した
『Development of the Standard Numbered Cotton Duck Specification』という書類があります。この中で、ダック生地の基準を詳細に指定しています。
当時ダック生地が、特にアメリカ政府によって様々な用途で使用されていたようなのですが、その際の仕様についての基準が曖昧であったため、その基準を統一して、生産者、利用者共に利便性を上げましょう、ということで、『Cotton Duck Association(ダックの業界団体)』がBureau of Standards(基準局)に要請してこの書類が作成された、というものになります。
この書類の中身ですが、まずは、号物ダック(Numbered duck)の定義が示されています(今後、Numberedを号物、Numberを号数、と言います)。次に、ダックの号数(Number of duck)の計算法が明確に示されております。
その後は、その他品質項目について、政府調達や製造者の生地スペック指標として活用する目的として、当時、流通していた生地の検査を実施したレポートとなっています。
さて、その内容については、次のようになっています。
まずは号物ダックの定義が、『諸撚糸された糸で機械で平織りされたコットン生地』とされています。
次に、ダックの号数基準が次のように定められています。
Number of duck = 19 - (Weight per linear yard 22 inchis wide in ounces)
ダックの号数 = 19 - (経糸方向1ヤードx22インチの面積の重量(オンス))
その後の、生地の検査レポートについては、ここでは割愛します。
ダックの号数の基準をもとに、ナンバーごとの重量スペックを表にして、現在の海外製キャンバスの重量基準と比較すると、 次の通りとなります。
ダックの ナンバー |
重さ | 重さ | 単位 |
---|---|---|---|
オンス/1ヤード ×22インチ |
オンス/平方 ヤード |
オンス(oz) | |
1 | 18 | 29.5 | 29.5 |
2 | 17 | 27.8 | 27.8 |
3 | 16 | 26.2 | 26.2 |
4 | 15 | 24.5 | 24.5 |
5 | 14 | 22.9 | 22.9 |
6 | 13 | 21.3 | 21.3 |
7 | 12 | 19.6 | 19.6 |
8 | 11 | 18.0 | 18.0 |
9 | 10 | 16.4 | 16.4 |
10 | 9 | 14.7 | 14.7 |
11 | 8 | 13.1 | 13.1 |
この表を見ますと、JISでの綿帆布とこのアメリカ基準で、多少の数字の違いがありながらも、かなり似たような基準になっていることがわかります。帆布の号数、ダックの号数が、1から増えるほど薄い生地になっていくこと。また、同じ号数の場合の重量が類似していることがあります。(その他、当基準書の中で記載があるその他スペックなどを見ても、かなり近い基準となっています)
アメリカのダックの基準書の発行が、1924年、JISの綿帆布の基準制定が1954年ということを考えると、もともとアメリカの基準が日本に輸入、使用され始め、年月の経過によりその内容が多少変わっていき、それが日本基準となり、その基準をもとにJISの制定がされた、と予測するのが自然ではないかと思います。
結局のところ、帆布(キャンバス)とダックの違いは何ですか?という問いにたいしては、綿帆布(コットン製キャンバス)とダックは、基本的には同じもの、ということでよいかと思います。ただ、号数の基準など、スペックの基準が違う、ということが言えます。『帆布』は、日本で使用されて一般化、独自に基準化された厚物平織り生地であり、『ダック』はアメリカで使用されて一般化、独自に基準化されたコットン厚物平織り生地であり、『キャンバス』は、帆布、ダックも含めた厚物平織り生地の世界的共通名称、ということが言えるかと思います。
帆布(キャンバス)の生機製造について
では、帆布(キャンバス)はどのようにして作られているのでしょうか?
帆布(キャンバス)は、シャトル織機、またはレピア織機で製造されています。
帆布(キャンバス)でも、緯糸の両端が切れてしまっている(基本的に両端が使えない)生地と、両端に”耳”がついて、そのまま使用できるセルビッチの生地があります。このセルビッチの生地の製造には、シャトル織機が必要となります。
シャトル織機は、緯(よこ)糸を飛ばすたびに、シャトル(杼)が織機の左右を往復する織機で、生産性があまり良くなく、現在はほとんど製造されていない旧式の織機となります。現在使用されているシャトル織機は、旧式の織機をメンテナンスしながら、どうにか使用し続けている、というのが現状です(現在の生地を生産する織機は、水の噴射により緯糸を飛ばすウォータージェット織機と、空気の噴射により緯糸を飛ばすエアジェット織機が主流となっています)。
よって、帆布(キャンバス)で、特にシャトル織機で製造されるものは、基本的には今後ますます生産量が減少していき、レアな生地になっていくと予想できます。
次に、スペック面を見てみましょう。
帆布(キャンバス)の厚み等スペックは、糸の撚りと、製織工程での経(たて)糸、緯(よこ)糸の本数などにより決定づけられることになります。色、柄の面では、先染めのものと後染めのものがあります。先染めとは、糸の状態で染色を行い、その後、製織(生地に織る)を行う生地を言います。帆布(キャンバス)生地で、縞状の模様のもの、また、格子状の模様のものの多くが、先染めの生地となります。
後染めのものとは、製織を行った後、生地の状態で染色を行うものです。コットン製帆布(キャンバス)の生成りは薄いベージュですから、巷に流通している、黒や紺、赤などなど、色がついている生地は、ほとんどが後染めの生地となります。
帆布(キャンバス)の製造では、スペックごとに、各工程で設定、段取りに時間がかかることから、生地製造にはある程度のロットを求められることになります(ロットが小さくても対応できる場合もありますが、コストが上がります)。
産地はどうなっているでしょうか。
日本においては、岡山県倉敷市が帆布(キャンバス)製造の主要産地となっており、日本全体の約7割がここで生産されていると言われています。その他、滋賀県、静岡県などで生産されています。
岡山県倉敷市は、デニムの生産拠点としても有名で、特にコットン製生地からの染色など、生地の後加工から、縫製などの製品製造業も集積しており、日本のアパレル業界、雑貨業界にとっても重要な生産拠点となっています。
世界的に見てみますと、正確な数字がないところではありますが、中国がまずナンバーワンかと思われます。綿花の生産量が世界ナンバーワンであることに加え、まだまだ綿生地の生産量が多い状況であります。近年は、中国の人件費高騰から、製織工程、縫製工程が、ベトナム、インドネシア、カンボジアなどの東南アジアや、インド、バングラディッシュなどの南アジアにシフトしている状態ではありますが、未だに多くの生地が中国から輸出されているという現状もあります。
続いて、インド、パキスタンなどの南アジアでの帆布(キャンバス)生産も増加している模様です。これは、当地での綿花生産も盛んな上、特にヨーロッパ市場向け綿製品などを南アジアで生産する傾向が強くなっていることによるものです。
なお、アメリカでの綿花生産もかなり多いところですが、原材料として輸出されるものが多く、アメリカでの帆布生産量はそれほど多くはないようです。
帆布(キャンバス)は、シャトル織機、またはレピア織機で製造されています。
帆布(キャンバス)でも、緯糸の両端が切れてしまっている(基本的に両端が使えない)生地と、両端に”耳”がついて、そのまま使用できるセルビッチの生地があります。このセルビッチの生地の製造には、シャトル織機が必要となります。
シャトル織機は、緯(よこ)糸を飛ばすたびに、シャトル(杼)が織機の左右を往復する織機で、生産性があまり良くなく、現在はほとんど製造されていない旧式の織機となります。現在使用されているシャトル織機は、旧式の織機をメンテナンスしながら、どうにか使用し続けている、というのが現状です(現在の生地を生産する織機は、水の噴射により緯糸を飛ばすウォータージェット織機と、空気の噴射により緯糸を飛ばすエアジェット織機が主流となっています)。
よって、帆布(キャンバス)で、特にシャトル織機で製造されるものは、基本的には今後ますます生産量が減少していき、レアな生地になっていくと予想できます。
次に、スペック面を見てみましょう。
帆布(キャンバス)の厚み等スペックは、糸の撚りと、製織工程での経(たて)糸、緯(よこ)糸の本数などにより決定づけられることになります。色、柄の面では、先染めのものと後染めのものがあります。先染めとは、糸の状態で染色を行い、その後、製織(生地に織る)を行う生地を言います。帆布(キャンバス)生地で、縞状の模様のもの、また、格子状の模様のものの多くが、先染めの生地となります。
後染めのものとは、製織を行った後、生地の状態で染色を行うものです。コットン製帆布(キャンバス)の生成りは薄いベージュですから、巷に流通している、黒や紺、赤などなど、色がついている生地は、ほとんどが後染めの生地となります。
帆布(キャンバス)の製造では、スペックごとに、各工程で設定、段取りに時間がかかることから、生地製造にはある程度のロットを求められることになります(ロットが小さくても対応できる場合もありますが、コストが上がります)。
産地はどうなっているでしょうか。
日本においては、岡山県倉敷市が帆布(キャンバス)製造の主要産地となっており、日本全体の約7割がここで生産されていると言われています。その他、滋賀県、静岡県などで生産されています。
岡山県倉敷市は、デニムの生産拠点としても有名で、特にコットン製生地からの染色など、生地の後加工から、縫製などの製品製造業も集積しており、日本のアパレル業界、雑貨業界にとっても重要な生産拠点となっています。
世界的に見てみますと、正確な数字がないところではありますが、中国がまずナンバーワンかと思われます。綿花の生産量が世界ナンバーワンであることに加え、まだまだ綿生地の生産量が多い状況であります。近年は、中国の人件費高騰から、製織工程、縫製工程が、ベトナム、インドネシア、カンボジアなどの東南アジアや、インド、バングラディッシュなどの南アジアにシフトしている状態ではありますが、未だに多くの生地が中国から輸出されているという現状もあります。
続いて、インド、パキスタンなどの南アジアでの帆布(キャンバス)生産も増加している模様です。これは、当地での綿花生産も盛んな上、特にヨーロッパ市場向け綿製品などを南アジアで生産する傾向が強くなっていることによるものです。
なお、アメリカでの綿花生産もかなり多いところですが、原材料として輸出されるものが多く、アメリカでの帆布生産量はそれほど多くはないようです。
帆布(キャンバス)の後加工について
製織工程を経て生地(生機)となった帆布(キャンバス)は、その用途によって、様々な後加工がされることになります。
まずは、日本製の帆布や、某アメリカブランドの帆布(キャンバス)バッグの生地が固い印象があるのは、生地が厚い上に、糊付け加工をしている事が上げられます。糊付け加工には、生地を固くする目的の他、汚れにくくしたり、防水性を高める効果があります。
防水性という効果を高める方法としては、パラフィン加工があります。これは、蝋引き加工とほぼ同じ加工にあたり、生地に、ロウソクにも含まれる、水に溶けない成分を浸透させることにより、撥水性を発揮させる、という加工となります。また、パラフィン加工をすることにより、使い込むことによる独特のエージングも楽しむこともできます。
その他、染色可能や、ダメージ加工など、様々な後加工をすることにより、独特の質感を演出することができることも、帆布(キャンバス)生地の大きな特徴となっています。
まずは、日本製の帆布や、某アメリカブランドの帆布(キャンバス)バッグの生地が固い印象があるのは、生地が厚い上に、糊付け加工をしている事が上げられます。糊付け加工には、生地を固くする目的の他、汚れにくくしたり、防水性を高める効果があります。
防水性という効果を高める方法としては、パラフィン加工があります。これは、蝋引き加工とほぼ同じ加工にあたり、生地に、ロウソクにも含まれる、水に溶けない成分を浸透させることにより、撥水性を発揮させる、という加工となります。また、パラフィン加工をすることにより、使い込むことによる独特のエージングも楽しむこともできます。
その他、染色可能や、ダメージ加工など、様々な後加工をすることにより、独特の質感を演出することができることも、帆布(キャンバス)生地の大きな特徴となっています。